グライコーム解析

 複合糖質糖鎖の加齢変化については、まだ限られたデータしかなく余り良く分かっていないのが現状です。遅れているのは、糖鎖の持つ特徴である構造多様性や老化の複雑さなどに起因しています。最近の糖鎖分析に関する技術の進歩には目を見張るものがありますので、今後は様々な複合糖質糖鎖の加齢変化について幅広いデータが蓄積されることが期待されます。こうした積み重ねが老化研究における糖鎖の意義を明らかにしていくうえで必要です。
 ポストゲノムの旗手としてプロテオーム研究の重要性が指摘されています。(蛋白質機能と老化の関わりに関する研究の項を参照して下さい。)これは遺伝子から作られた蛋白質を網羅的に解析しようとプロジェクトです。生命の設計図であるゲノムからの遺伝子情報は翻訳されて蛋白質が作られますが、半数以上の蛋白質はこれではまだ働きが不十分で、そこに「糖鎖」がくっついて糖蛋白質となり初めて機能的に働きます。細胞の個性や多様性を決めているのが、この糖鎖であり、生物のさまざまな機能にかかわっています。糖鎖は遺伝子から直接作られるのではなく、酵素によってひとつずつ作られ、これが大きな特徴です。糖鎖に含まれる情報はゲノムにはない情報であり、ポストゲノム研究としてこれからさらに研究が必要とされる分野です。老化メカニズムを理解するうえでも糖鎖が一つのキーワードとなることだけは間違いないと考えられています。
 糖鎖は核酸・蛋白質に次ぐ第三の生命情報高分子とされ、糖鎖の全体像を統合的に理解しようとする「グライコーム研究」の必要性が老化研究でも求められています。「グライコーム研究」は、糖鎖セットの個体レベルでの差、発生や病気による変化、各種細菌感染に対する感受性の差などを明らかにし、SNP・プロテオーム解析などと歩調を合わせ、生命にとっての糖鎖の機能と存在意義を明確にしようというプロジェクトです。

<遠藤 玉夫、佐々木 翼>


主な糖鎖関連サイト一覧

糖鎖科学一般

http://www.vei.co.uk/TGN

http://www.glycominds.net/

http://www.glycoforum.gr.jp/

糖鎖関連酵素

http://afmb.cnrs-mrs.fr/~cazy/CAZY/index.html

アメリカ糖質学会

http://www.glycobiology.org/

日本糖質学会

http://www.bcasj.or.jp/jscr